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新国立劇場バレエ アラジン 上質のエンターテイメント・バレエ

新国立劇場バレエ「アラジン」 2008年11月21日19時開演 新国立劇場大劇場(オペラパレス)

【概要】

「アラジン」は、もともとエディンバラ・バレエのために(ビントレー以外の人物の振付で)作られていたが、人気がなくレパートリーから外れていたという。しかし作曲者のデイヴィスは、この曲をとても気に入っていたので、本人自身の指揮でCDを録音したという。このCDは作曲者からビントレーに渡され、ある日、ビントレーがドライブしながら聞いていると、とても気に入り、いつかは自分の振付で再舞台化しよう、と決意したそうで、それが今回の新国立劇場バレエに結実したという。新国立劇場の宣伝では「世界初演」といっているが、曲としては初演でなく、あくまでビントレーの振付としては初演という意味である。

ビントレーの振付の舞台設定はアラビアのどこかの街。そこに住む中国人の少年アラジン。アラジンは謎の魔術師マグリブ人に求められ、洞窟に入り魔法のランプを手に入れる。魔法のランプを魔術師に渡すことを拒んだアラジンは、洞窟に閉じこめられるが、魔法のランプの力で無事、脱出に成功する。アラジンはランプの精ジーンを家来に従え、財宝をも手に入れ、美しいプリンセスとも結婚する。しかし魔術師マグレブ人は、プリンセスをさらい、自分のハーレムにつれてゆく。アラジンはハーレムに追いかけ、無事、プリンセスの救出に成功する。そして精神的に成長したアラジン・プリンセスは、魔法のランプをジーンに返し、ジーンを自由の身にする。

魔法のランプが象徴する財宝や権力を追い求めていたアラジンが、最後にはそれ以上に大事なもの「愛」に気がつく、というアラジンの成長物語でもある。

【見所・聞き所】

序曲・・・弦楽の響きの上にのって、ホルンソロによる壮大なメインテーマ。このテーマは盛り上がる場面で度々、使われる。

第一幕の華やかな宝石の踊り・・・ディヴェルティスマンとして、いろいろな宝石が踊り出す。

ランプの精・ジーンの登場・・・マジックのように霧の中から登場。ワイヤーアクションで宙づりもする。

空飛ぶ絨毯・・・アラジンといえば「空飛ぶ絨毯」でしょう。アラジンとプリンセスは、ジーンの力で、マグリブ人のハーレムから自宅へは空飛ぶ絨毯にのって帰る。

【感想】

映画音楽調の旋律とわかりやすい舞台がマッチして、とても楽しい。最初から最後まで飽きる場所がない。件のCDであらかじめ予習していったので「あの音楽にこんな舞台装置・振付をあわせるのか」という楽しみもあった。

山本さんは、普通の少年というよりは、かなり格好いい青年。あれだけ激しく踊り、高いジャンプをしても着地音がほとんどしないのが凄い。本島さんは、立っているだけで絵になる美女。意志の強い女性、というイメージ。吉本さんは一番、ブラヴォーの声を受けていた。ワイヤーアクション、踊りと大活躍。宝石の踊りは、寺島ひろみさん・まゆみさん&中村誠さん(エメラルド)、湯川麻美子さん(サファイア)、厚木三杏さん&陳秀介さん(ルビー)等が秀逸。豪華絢爛で、ここは本当に見飽きなかった。

東京フィルは、金管が音を外すなど失望する面が多々あった。ツィメルマンをコンチェルトのソロに迎えたチョン・ミョンフン指揮の定期&特別公演が並行してあり、主力組でなかったのだろうが、プロである以上、楽譜に書いてあることは再現してほしい。

新国立劇場の建物は、夜のライトアップが見事。暖色系の灯を控えめに使い、これが中庭の池にマッチしている。楽しい気分で帰宅できた。

ビントレー作品は「カルミナ・ブラーナ」、「美女と野獣」とみてきたが、「アラジン」は、これらよりエンターテインメント色が強く、個人的にはつぼに来たし、誰にでも勧められる。是非とも再演を望む。

【キャスト・スタッフ】

山本隆之(アラジン)/本島美和(プリンセス)/吉本泰久(ランプの精・ジーン)/マイレン・トレウバエフ(魔術師マグリブ人)/難波美保(アラジンの母)/イルギス・ガリムーリン(サルタン)

ポール・マーフィー(指揮)/東京フィルハーモニー交響楽団

デヴィッド・ビントレー(振付)/カール・デイヴィス(作曲)/ディック・バード(舞台装置)/スー・ブレイン(衣裳)/マーク・ジョナサン(照明)

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